【プロマネ】経営者の人物タイプとプレゼンテーション


この春学期に履修していた”Managing Project”という名前の
プロジェクトマネジメントのクラス。

プロジェクトビジョンの立て方や、スケジュール・コストの管理方法といった、
一般的なプロマネの講義に加えて、
経営者のタイプに合わせて、プレゼンテーションの仕方を変えるべきだ
というテーマも扱ってくれました。

これは、実務を経験した方なら共感していただけると思うのですが、
人によって、納得のポイントや、「気にする」ポイントは大きく異なります。
僕も前職で、経営会議の事務局を担当していたことがあるのですが、
ひとつの議題について、役員同士の考え方が大きく異なり、
意見をまとめていくのに多くのエネルギーを要しました。

忙しい方々に対してプレゼンテーションをするときに、
重要なことは、「端的にポイントを伝える」ということです。
このプロマネの講義では、
人物タイプごとに「何が端的なのか?」ということについての解説がありました。

使った論文は、
Williams, Gary A. and Robert B. Miller “Change the way you persuade,”
Harvard Business Review, 2002 May.
です。

この論文では、経営者のタイプを5つにわけています。

1. カリスマ (Charismatics)
2. 考える人 (Thinkers)
3. 疑い深い人 (Skeptics)
4. 追随者 (Followers)
5. 統制者 (Controllers)

経営者にとって、どれが適切か?という話ではありません。
この5つのいずれのタイプも経営者として存在していますし、
それぞれ成功者もいれば、失敗者もいます。

著者であるガリー氏とウィリアム氏の調査によると、
それぞれのタイプの割合は、以下の通りです。

1. カリスマ 25%
2. 考える人 11%
3. 疑い深い人 19%
4. 追随者 36%
5. 統制者 9%

繰り返しますが、どのタイプが適切なのかという話ではありません。
「1つの答え」が好きな日本人(僕も含めて)は、
ついつい、「追随者タイプが一番経営者に向いているのか」などと
考えてしまいがちですが、そういう話ではありません。
たとえば、「2. 考える人」は11%しかおらず少数派ですが、
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、このタイプに該当するようです。

さて、本題に戻りますが、
それぞれのタイプには、ものごとのとらえ方に大きな違いがあります。
この違いを的確にとらえることで、
相手に対する納得感や信頼感を向上させることができ、
プロジェクトを前進させることができます。
順番にその特徴を見ていきたいと思います。

1. カリスマ

カリスマの特徴は、新しいもの好きで、概念的な話が大好きなことです。
斬新なものや理想に対する共感が強く、
それを自分の過去の経験に照らし合わせ、意志決定をしていくタイプです。
熱狂的、魅了的、話好き、支配的というような特徴もあります。

このタイプの人に対してプレゼンテーションをする際に重要なことは、
「わくわくさせるようなゴールを伝える」ということです。

つまり、このプロジェクトを進めることで、どんな明るい将来が待っているのか、
会社が「素敵」になるのか、世の中の注目を集めるのかなどを、
クリップアートや写真など視覚的な表現で、わかりやすく伝えることです。
あまり細かい数値面に焦点を当ててしまうと、興醒めさせてしまいかねません。

そのため、プレゼンテーションにおいては、最初のインパクトが重要です。
この最初のゴール説明で、相手をつかめるか。そこにほぼ全てがかかっています。

2. 考える人

このタイプの特徴は、「データ重視」です。
多くの情報やデータを集めて、さまざまな角度からプロジェクトを精査しようとします。
そして多面的な情報から、論理的な思考プロセスを通じて、全体像を構成していきます。

このタイプの人のキーワードは、
「数字」「証拠」「ロジック」「専門家の意見」「計画性」などで、
プレゼンテーションをする場合には、相手を納得させるのに十分な
事前調査、事例研究、専門的意見の収集、数字の計算が欠かせません。
そしてそれをロジックで組立て、順番に説明していくことが重要です。

3. 疑い深い人

このタイプの特徴は、提示されるデータや数字などに懐疑的で、
自身の抱くイメージと合わないものに対しては、拒否反応を示すことです。
ときには、強硬に反対意見を主張することもあります。

このタイプの人に対してプレゼンテーションをする場合には、
プレゼンテーションの内容だけでなく、
プレゼンター自身の「信用度」を上げることです。
彼らは、プレゼンの中身ではなく、「誰が言っているのか」を重視します。
日頃からプレゼンターの信用度を上げるための取組がとても意味をなします。

もし、プレゼンター自身の信用度が十分でない場合は、
プレゼンテーションの内容を事前に、この経営者が信頼を置いている人の
意見を聴き、「〇〇さんも賛成している」という内容をもって議論を補うことで、
代替可能です。

4. 追随者

一番出現割合の多いこのタイプの特徴は、
言葉のとおり、他者や他社の事例を参考に、意志決定をしていくことです。

そのため、このタイプの人にプレゼンテーションをする場合には、
「事例」が重要となります。
類似企業がなぜそのプロジェクトを採用したのか、
プロジェクトの結果、どのような効果を得たのか、
さらにはもし余力があれば、その企業の証言やお墨付きについて言及することは、
大きな説得材料になります。

このタイプの人は、「意志決定をする安心感」を強く求めています。
「すでに成功している事例がありますよ」ということは大きな安心材料となるのです。

5. 統制者

このタイプは最も出現頻度が低いですが、特徴として挙げられるのは、
とても慎重なタイプだということです。
不確実なことや不明瞭なことを廃し、すべてが明らかになるまで、
意志決定をすることはありません。
統制者自身の中で、すべてが「クリア」になり、情報を統制できてはじめて、
決断をします。

このタイプの人に対してプレゼンテーションをする場合の重要な点は、
相手にプレッシャーを与えないということです。
決断を迫っても前進をすることはありません。
その代わりに、相手が必要としている情報を少しずつ提供しながら、
一緒に結論にアプローチをします。
また、他者の意見を参照する場合には、専門家の意見をもらう必要があります。
素人の推測では、情報の「不確実さ」を拭えず、参考にならないからです。
 

実際に、経営者の中には5つすべてのタイプが存在していると思います。
自分が意志決定を求める相手が、どのタイプなのかを把握することは極めて重要です。
その能力もプロジェクトマネージャーの力のひとつだといえます。

また、今回紹介した人物タイプは、経営者の分析だけでなく、
顧客や上司、その他の関係者に対する分析としても活用することができます。
相手に対してやり方を変える。
この当たり前のことを、どれだけ当たり前にできるかで、
人のパフォーマンスは大きく変わってくるのだと、改めて考えさせられました。


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