MBA留学を目指した“目的”と得られる“メリット”


自分の中で、20歳ぐらいからぼんやりと心に決めていた留学。
その分野がMBA留学となっていったのは、働き始めて3年ほどたってからでした。

今回、その時感じていた想いや、実際実現してみて感じたことなどを踏まえて、
あらためて、「MBA留学とは何か」を整理してみたいと思います。

そこで、まず、「何を目的としなかったか」から思い起こしてみました。

非目的その1.: ビジネス知識

MBAは「ビジネススクール」です。
が、僕の中では、MBAにビジネス知識はほとんど期待していませんでした。

日本ではOJTという言葉をよく聞きます。
実際に業務経験を通じて、自分の力をつけていくという考え方や手法です。
僕はこの言葉が好きです。
実際に6年以上の職務経験を積み、そこで得られたことの多さや大きさは、
何物にも代えられないものがありました。

日々切磋琢磨しながら、ストレスをかかえながら、
それでも自分で道を切り開いていなかなければいけない環境。
理屈だけではなく、組織やチームの状態を考えながら、
相手に働きかけていかないと前進できないという経験。
そこから得られるものは、ビジネススクールで学ぶことより意味のあることだと
今でも思っています。

それに、日本人は学校にいかなくても、本を読む習慣があります。
日頃から新しいことを吸収したり、学習したり、知見を広げたり。
そういうものは、ビジネススクールにいかなくても、日本にいても可能です。
自分も読書が好きなので、
あらためて知識をビジネススクールにまで行って得る必要はないと思っています。
 

非目的その2.: マネジメント力

管理職になるためにMBAが必要だという話もありますが、
僕はビジネススクールがマネジメント力を鍛えてくれるともあまり思っていません。
MBAはあくまで「学校」です。
いい仕事に就くために、いい成績をとるんだ、ということもありますが、
しかしあくまで学校なので、実際の仕事とは緊張感が違います。

気の合わない人がいれば、話さなければいい。
気難しいチームメイトがいても、3か月も我慢すればクラスは変わります。
「なんとしても目の前の相手に向かい続けなければならない。」
仕事で直面するそのような環境は、残念ながら、MBAにはありません。
 

非目的その3.: 日本国内でのキャリアアップ

実際に転職エージェントで仕事をしていた経験からわかるのですが、
日本企業の多くは、MBA取得者を特段優遇したりはしません。
むしろ、MBA期間が業務経験のない「ブランク期間」とみなされ、
評価を落とすこともよくあります。

これは、世界では非常に珍しいケースです。
欧米の企業では、MBA取得者は今でも高く評価されます。
取得後の入社時は、非取得者より高待遇で迎えられ、
上級管理職になるには、MBA取得が暗黙に条件となっていることもあります。
中国や台湾、東南アジアでも、この傾向は変わりません。
海外ではMBAはキャリアアップや給与アップのための大きな近道なのです。

しかし、日本はそうではありません。
「体系的な知識を軽視する日本の文化はけしからん」という声もありますが、
僕はこの日本の特異な状況の原因を別のところに見出しています。
それは、「日本企業のOJT力が高い」ということです。

実際にMBAに通い、日本人の力は高いことがわかりました。
「段取り力」「人間関係構築力」「業務効率」「タイムマネジメント力」「計算力」。
日本人のこれらの力は先進国の中でもトップクラスです。

それだけ、日々の業務の中で、日本人は高いスキルを自然と習得していっています。
何もビジネススクールにいかなくても、日々の業務のほうがスキルを向上できるのです。
そうでなければ、戦後日本の急速な経済発展や高い輸出競争力は
実現できていなかったはずです。

結果として、ビジネススクールは日々の業務スキルの向上にとって非効率なのです。
※しかし、この状況は変わりつつあります。それについては後述します。

ということで、よく言われるような上記の3つは、自分の中では目的においていませんでした。
 

そのかわりに、僕は以下のものを目的と置きました。
 

目的その1: 英語コミュニケーション能力

英語能力そのものは、日本でも自主学習や英会話学校などで習得できます。
が、英語コミュニケーション能力は、そうはいきません。

なぜでしょうか。

例えば、日本人同士で英語で話をしたりするとき、
仮に英語がおぼつかなくても、会話はスムーズにいきます。
それは、相手の会話スタイルや話題を事前にイメージできるからです。

話を切り出すタイミング、返答しそうなコメント、適当な相槌、話題の展開速度。
これらは、日本語でやろうと、英語でやろうと、
その人自身に染みついているものなので、かわりません。

しかしこれが、外国人と話すとなるとそうはいきません。
話の間、議論の順序、時間間隔、進捗方法などなどが大きく異なります。
例え、英語が話せたとしても、その中で自分を出していくことは、
大きなチャレンジです。

僕自身は、日本国内で生まれ育ち、海外での生活経験は一度もありませんでした。
海外旅行に何度も行き、仕事で海外出張にもいきましたが、
少し込み入った話になると英語ではとても話せませんでした。

今でも忘れないのが、大学時代に参加した、日米学生会議というイベントでのこと。
そのイベントは、日米それぞれ35名の学生が1カ月一緒にいろいろ話をしていくのですが、
僕自身は英語を使ったコミュニケーションにほとんど参加できず、
悔しい思いをしたどころか、英語がコンプレックスになっていったほどでした。
今年、こちらで当時のアメリカ人学生に再会した時にも、
「Kenjiはあのとき本当に英語しゃべらなかったよね」と言われたほどです。

英語で話すこともまだまだなのに、まして英語でのコミュニケーションなんて無理だ。
しかし、これを早く克服したいという想いはその後も持ち続けていました。
MBA留学では、当然、会話はすべて英語です。
講義、ディスカッション、グループワーク、日々の談笑、休日のレジャー。どれも英語。
いい成績をとるにも、友達をつくるにも、英語でのコミュニケーションが必要です。

この環境は、日本企業で海外勤務になっても、なかなか得ることはできません。
なぜなら、「日本の会社」だからです。
同僚の多くは日本人。海外勤務になっても、日本語で業務をすることは多い。
さらに、企業文化は日本文化。
どこか「相手に自分たちの文化に馴染んでもらおう」という意識が働きます。
そこでは、まったく違う文化の中で、自分を理解してもらう、伝えていくという経験は得にくい。

僕がMBA留学の目的としたのは、このように、
「異文化という厳しい場で、英語コミュニケーション能力を磨きたい」というものでした。

結果として、英語コミュニケーション力は大きく上達しました。
前述の日米学生会議の友人からは、
「Kenjiは本当に英語がうまくなったねと誉められました」(笑)。

なかには、「MBA留学しても、英語はたいして上達しない」という方もいらっしゃいますが、
それは、その人の時間の使い方次第です。
1年や2年、異言語圏にいるというのは、そんなに短い期間ではありません。
とてもネイティブと同じレベルとまではいかないとしても、
英語でのコミュニケーションを自信をもって行うことができるというレベルには、
努力次第で到達できます。
 

目的その2: グローバル・ネットワーク

MBA留学の目的にグローバル・ネットワークを挙げる方は珍しくありません。
僕もそれを大きな目的としていました。

純国産の自分自身は、海外へのネットワークをほとんど持っていませんでした。
前職での業務も、99.9%国内を対象としたもので、海外への接点はなし。
気兼ねなく連絡をしあえる外国人の友人もたったの数名。

将来、日本経済がグローバル化し、自分がその中で仕事をしていくうえで、
この点は、間違いなく自分の足を引っ張っていく。そう考えていました。

ビジネススクールは「学校」です。
学校は緊張感のないというデメリットを上記で書きましたが、
反面、利害関係なく、仲の良い友達をつくる環境としては、最適です。
大学時代にできた友人は長く続く大切な友人だ、と思っている人は多いと思います。
そのような環境を新たに海外で築き、その中で外国人の友人をたくさん創ることができる。
これは、本当に大きなメリットです。

渡米してもうすぐ10カ月になろうとしている今。
すでに100名を超える外国人の友人が新たにできました。
卒業後もお互い連絡をとっていけるような、気のいい友人達です。
とくに、サンダーバードでは、留学生比率が半数以上と高く、
今後注目されるような、中国、インド、東南アジア、中南米、アフリカなど、
日本ではなかなか出合えないような出会いをたくさんつくることができました。

おかげで、英語以外にも、学びたかった中国語やスペイン語を彼らから、
特訓してもらうこともできるようになりました。もちろん、無料(笑)。

このネットワークは、今後の自分にとって大きな財産になっていきます。
 

目的その3: MBAというタイトル

MBAというタイトルが持つ意味については、賛否両論あります。
僕も、「MBAをとったからといって、なんぼのもんじゃい」という気持ちがあります。

しかし、違う現実もあります。グローバル社会は学歴社会なのです。

日本では、属している会社の「格」で人を判断することがよくあります。
転職エージェントにいた際にも、いわゆる「大手企業」にいた人(とくに若手)は、
大きな転職競争力を持っていました。

しかし、海外では、会社を渡り歩くことも珍しくなく、国境を超えることも珍しくありません。
とくに、ホワイトカラーのマネジメント層になればなるほど、
会社や国境で人を判断することは難しくなります。
そこで、重視されるのが、名のある学校で、修士や博士の学位を持っているかどうか、
となってきます。それがわかりやすい評価基準となるのです。

これは欧米だけではありません。
アジアやアフリカ、中南米の学生たちも、この「学歴」を求めて、大学院に行きます。
そして、帰国後は会社や政府、国際機関の重要なポジションについたり、
新たに起業をしていったりします。
名だたる新興国の経営層が、欧米でのMBAを持っているのは、この理由からです。
ちなみに、多くの国際機関の応募条件は、修士号取得者以上となっています。

こうして、グローバル社会では、修士・博士、またMBAを持っている人たちの、
「コミュニティ」が形成されています。このコミュニティが影響力を持っています。

こういった学歴志向を快く思わない、日本の方もいらっしゃると思います。
しかし、日本でも同様に「大卒コミュニティ」というものがあります。
現在、多くの日本人が、大学へ進学します。
それは、大学で何を学ぶかを問わず、大卒というものに意味を感じているからです。

実際に、僕自身は大学に進学させてもらえましたが、自分の両親は高卒です。
親戚の伯父さんは中卒です。
もちろん、伯父も両親も尊敬するほど立派な仕事をしていますが、
大卒ではないという壁や距離のようなものを感じてきたと、父は口にしていました。

それが、グローバル社会では、「修士・博士」や「MBA」について起こっているのです。
グローバル社会では、厳しい現実があるのだということを知り、
自分もその世界にチャレンジをしてみたくなりました。
 

このように、僕がMBA留学を選んだ目的は、
経済のグローバル化と密接に結びついています。
そのため、国内MBAというものは、自分の中では選択肢にはありませんでした。

「英語コミュニケーション力」「グローバル・ネットワーク」「MBAコミュニティ」。
どれも、グローバル時代を生き抜くために、必要なものだと考えました。

正直、日本国内のマーケットだけで仕事をしていくのであれば、
膨大な資金を投じて、MBA留学をする必要はないと思っています。
それより、職務経験を積んでいたほうが、
国内での業務力・マネジメント力は向上できるからです。

もし日本の内需が旺盛で、グローバル経営に突入する必要がなかったとしたら、
僕もMBA留学の必要性を感じていなかったと思います。

自分が50歳や60歳となる20年後や30年後、自分や日本はどうなっていくのか。

それを考えたときに、
坐して待つよりも、主体的に自分からグローバル化にトライしていきたい。
むしろ、日本国内の持つ力を、積極的に海外に紹介していきたい。
そして、グローバル社会の中での新たな日本経済や社会の礎を築いていきたい。
そのために、MBA留学は自分にとって大きなステップになる。そう思うようになりました。

どう生きるか。それは、それぞれの人の自由だと思います。
このブログが、参考になったら幸いです。


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