12/17から始まったサンダーバードの冬休みもあと1週間で終わろうとしています。
この間、奥さんがアメリカに遊びに来ていたので、
一緒にアメリカ各地へ旅行へ行ってきました。
仕事をしていたときは、ここまで長期で旅行に行くことはなかなかできなかったです。
前職のリクルートエージェントでは、アニバーサリー休暇やリフレッシュ休暇という1週間ほど
休める制度があったのですが、
さすがに2週間もの休みは取れませんでした。
かつて大規模システム開発の最中に、12日間の休みを強行したのですが、
帰ってきたときに、そのとき当時の部長からかなり冷たい目線で迎えられたのを、
今でも覚えています。。。
訪れたのは、
アリゾナ州:セドナ、グランド・キャニオン、アンテロープ・キャニオン、ホースシュー・ベンド、レイク・パウエル。
カリフォルニア州:サンフランシスコ、ミュール国定公園、ヨセミテ国立公園、サンノゼ、ロサンゼルス、サンタバーバラ。
アメリカはとてもとても大きい国です。
大国アメリカは、文字通り土地が広大なのです。
21世紀にアメリカの力が衰えていったとしても、その土地の広大さは変わりません。
今回、20日ほどかけて、アメリカの西部や西海岸を回ったのですが、
とても西部と西海岸を「回りきった」とは呼べません。
アリゾナ州の内部ですら、回りきったと言えないレベルです。
それもそのはず。アリゾナ州だけでも日本の国土とほぼ同等の面積があるのです。
訪問したところは、比較ができないほど、どこも素敵でした。
今回のテーマは「西部・西海岸の自然、経済、移民社会」。
大自然はアメリカの醍醐味のひとつです。
グランド・キャニオンは2回目、セドナは3回目なのにも関わらず、何度訪れても感動します。
ヨセミテ国立公園は日本人にも人気がありますし、
ミュール国定公園は、世界一背の高いレッドウッドの神秘的な森を堪能できました。
ホースシュー・ベンドやアンテロープ・キャニオンは、日本人はまだあまり知られてない
ポイント。いつメジャーになってもおかしくないほど「凄い」です。
アメリカでは国立公園という制度が発達しており、観光と自然保護を両立させる取り組みが進んでいます。
観光地化と自然保護は本来矛盾する概念です。
観光地化が進むと、人の手足によって自然が破壊されてしまうためです。
しかし国立公園の制度では、
観光地化によって自然保護に必要な財源を賄うという考え方がとられています。
ロッジや展望台など必要最低限の観光地を整備し、過度な土産物屋や箱物施設は排除。
その結果、政府から認められている国立公園の敷地の中で、
観光客が立ち入ることができるのは、ごく一部のみ。
また、レンジャーと呼ばれる専門スタッフが、
観光スポットの解説と自然保護の大切さを同時に訪問者に伝える役目を
果たしています。
それにより、訪問者は同時に自然保護のファンになっていくのです。
ヨセミテ国立公園で周遊バスに乗った際、最後に、
「何かご意見がありましたら、アンケートに必ず書いていってください。
ここは皆さんの国立公園なのです。」
と言っていたのが、印象的です。
国立公園は国の公園ではなく、国民の公園。
国立公園をどのようにしていくのかは、国民の意見に委ねられているということです。
西海岸には大自然だけでなく、アメリカを支える経済の中心地でもあります。
訪問した、サンフランシスコ、ロサンゼルスは移民が大半を占める状況。
アメリカの第2の都市ロサンゼルスは、現在ヒスパニック系が住民の約半数を占める
までになっており、これにアジア系を加えると、大半が白人以外なのです。
ロサンゼルスのディズニーリゾートやユニバーサルスタジオハリウッドでは、
観光客の大半がスペイン語で話をしています。
同時に、中国人の観光客の多さも目立ちました。
その数は日本人訪問者の約20倍ほど。
アウトレットモールでも、中国人と韓国人の観光客の数が多数を占め、
ブランド品を買いあさっていく姿が目に留まりました。
人民元・ウォン安という状況でも海外旅行に出かけるまでに、
中国・韓国の中流階級は成長しているのです。
海外でブランド品を買いあさる姿は、バブル期の日本と重なっても映ります。
アメリカのベンチャー文化を牽引してきたシリコンバレーのサンノゼは、
アップルコンピュータ、グーグル、マカフィーなどIT時代の風雲児たちのビルが林立する中、
For Lease(空き物件)の札が目立っていました。
バイアウト投資やベンチャーキャピタル投資が低迷する中、
シリコンバレーもかつての勢いを失いつつあるようにも映りました。
スタンフォード大学やUCバークレー、UCLAにも訪れましたが、
ここでも目立ったのはアジア系の学生。
いまやアメリカの有名校では、インド、中国、韓国からの留学生が幅を利かせています。
アリゾナ州にある全米有数のアリゾナ州立大学、アリゾナ大学(どちらも州立大学)でも、
最近、州外からの生徒数割合を大幅に増やす方針が出され、
教育の場を提供することで、世界から人材を集め、経済の担い手を育てていこうとする
アメリカ政府の方針を窺い知ることができます。
ポイントは、連邦政府だけでなく、州政府がアメリカの将来を必死に考えようとしている点。
日本では、何かあると中央政府の責任にしがちですが、より身近な都道府県に責任と力を
要求していく意識の変革も必要になってくると思います。
アメリカにおける日本社会を知るため、サンフランシスコとロサンゼルスの日本人街を
訪れてみました。
目に飛び込んできたのは、多くの外国人(アメリカ人以外)観光客の姿。
アジア系はもちろん、ヒスパニック系の観光客も日本食店、ハローキティーのショップや
アニメ・マンガコーナーに集まっていました。
世界中から人々が集まるアメリカで、日本人街は日本を海外に紹介する機能をはたして
くれているようにも感じました。
特にサンフランシスコでは、近鉄や紀伊国屋といった日系資本がショッピングモールを創り
レストランや雑貨だけでなく、美容院、プリクラ、線香、ダイソーの100円ショップなどが出店、
広義での日本のポップカルチャーの拠点を形成していました。
しかしながら、一部では近鉄が財政難からこのモールを手放すことを検討していることが
報道されたり、韓国系資本に日系ショップが買収されたりと、将来も危惧されます。
日本文化のグローバル化を考える際、日本国内だけでなく、日系移民が築き上げた外国の
中の日本も一体になって考えるVisit Japanを考えてみたいなとも思わさせられました。
アメリカでは環境についても先進的です。
ブッシュ政権の京都議定書からの離脱などで、アメリカは環境先進国だと書くと意外に
思われるかもしれませんが、
カリフォルニア州を中心とし、エコフレンドリーな取組が数多くなされています。
サンフランシスコからアムトラック(旧国鉄)に乗ってヨセミテへ向かう途中に、
車窓から巨大な風力発電群を見ることができました。
ざっと見ただけでも、その数200以上。カリフォルニア州では現在、州をあげて、
再生可能エネルギー比率を高めています。
結果、2007年時点で全電力の12%が再生可能エネルギーで賄われています。
ちなみに、日本の再生エネルギー比率は2011年時点で0.25%弱にすぎません。
サンフランシスコでは、公共バスがガソリンではなく電力で稼働しており、
現在検討中のカリフォルニア州新幹線構想も、
輸送手段を環境負荷の大きい車から鉄道へとシフトさせる取組の一環と言えます。
まだまだ書き足りませんが、今回の旅の大まかな感想としては、以上です。
最近、日本人のアメリカ訪問離れが進んでいますが、
アメリカには見どころがたくさんありますので、皆さんも一度訪米を検討してみてください。