サンダーバードのコスト削減術


久々にブログを更新します!
しばらく、試験勉強と新たなサイトの制作に追われてました。。。
※新たなウェブサイトは3週間後ぐらいに公開できる予定です!乞うご期待!

さて、今日は、サンダーバードのユニークな大学運営スタイルについて
ご紹介したいと思います。

サンダーバードは、いわゆる学校法人です。
学校法人は政府の会計監査を受け、会計報告書は公開されます。
その公開された報告書(2007年度:2008/6/30締)を読み取ると、

<売上>
授業料        5680万ドル
ホテル収入      200万ドル
政府補助金      480万ドル
受取利子         20万ドル
受取配当金       70万ドル
その他収入       130万ドル
売上合計       6580万ドル

<費用>
教授陣報酬      2030万ドル
スタッフ報酬      430万ドル
経営陣報酬       290万ドル
その他授業関連費  1340万ドル
施設費          450万ドル
印刷費          200万ドル
書籍・教材費       120万ドル
ライセンス費       220万ドル
出張費          120万ドル
光熱費           60万ドル
郵送費           20万ドル
通信費           20万ドル
減価償却費        280万ドル
支払利息         140万ドル
給与税           140万ドル 
その他           580万ドル
費用合計 6450万ドル

<当期利益>
利益            130万ドル

利益率は2%を切っており、あまり収益性の良い状況ではありません。
学校法人は利益を上げる必要がないという意見を組んだとしても、
赤字転落ギリギリのところを推移しているのは、あまり好ましいことではありません。
財政に逼迫している学校法人は、サンダーバードだけでなく、
大方のアメリカの大学は、どこもこのような状況のようです。

費用の大半を占めているのは、教授陣報酬並びにそのたの教育関連費。
いわば、原価が非常に高い。
この原価を下げることは、教授陣が退職してしまったり、また教育の質を下げることとなり、
入学者の現象を招くため、困難です。
一方、施設費、光熱費などインフラ費は、省エネなどすでに様々な努力を重ねており、
大幅なコスト圧縮は期待できません。

そこで、サンダーバードが大きく力を注いでいるのは、「スタッフ報酬費」の削減です。
一般的にスタッフ報酬費を削減するためには、「IT導入」「アウトソーシング活用」などが
挙げられますが、サンダーバードは「ここならでは」のユニークな方式を導入しています。
それは「学生に実施してもらう」というものです。

サンダーバードには、マネジメントを専攻する、社会人経験のある学生が豊富にいます。
そして彼らは、次のキャリアのために、
さまざまな経験や、就職活動時にアピールするための「主体的」なエピソードを欲しています。
これが大学側のニーズと一致します。
大学側は、スタッフ削減のために、無料で引き受けてくれる人員を欲しており、
学生側は、無料でもいいので、経験のために実施させてくれる活動を探しています。
そこで、大学側は、ありとあらゆることに、学生を巻き込みます。

大学側の教育活動の一環として実施している「外部講師による出張講演」は、
学生による各クラブ(コンサルティングクラブ、エネルギークラブ、プロマネクラブ、
国際開発クラブなど)が担当し、学生自らが講師の招聘、会の主催を実施しています。

学生からの意見(インフラ改善、大学側への要望など)の収集、大学側からの連絡など、
大学側と学生側のコミュニケーションは、生徒会(Student Governance)が担当しています。

新入生へのガイダンス、就職相談のためのキャリアアドバイスは、
大学側がその都度、学生を募り、わずかながらの報酬を支払って、
学生にアウトソーシングしています。

年に数回行われる公募制のフィールドトリップのスケジュール作成、ロジスティクス、
訪問先組織との折衝なども、すべて公募された参加学生自身が担当します。

高等教育が最近敏感になっている、盗作に関する防止、審議、処罰など、
一種の司法機関も、倫理委員会という学生組織が中心となって運営しています。

こうして、大学側は極限まで、スタッフ報酬費を節約しているのです。
さらに、大学側は、国籍多様な学生同士が協力し合い、コミュニケーションを
増やしていける、このような環境をアピールすることで、
「国際ビジネスNo.1」のブランド価値をさらに高めていくことにも成功しています。

コスト削減という言葉には、どこか後ろめたい感情を想起させます。
しかし、視点を変えることで、Win-Winとなるコスト削減は可能となります。
サンダーバードの試みは、このWin-Winコスト削減の可能性を例証してくれています。


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