会議は何のためにある?


サンダーバードでは、グループワーク課題が多く、
毎週、様々なグループで打ち合わせをしています。

これまで経験したものでは、
・発想ゲームでのミーティング
 (日本人、韓国人、台湾人、ベネズエラ人)
・太陽光発電テクノロジーや優遇税制のリサーチ
 (日本人、中国人、ベネズエラ人)
・チェコ共和国のビジネス環境とポテトチップス市場のリサーチ
 (日本人、アメリカ人、台湾人)
・偉大なリーダーたちの共通点と相違点
 (日本人、アメリカ人、中国人)
・21世紀の社会環境の変化
 (日本人、アメリカ人、中国人)
・チョコレーレートメーカーの戦略の違いと有効性
 (日本人、アメリカ人、中国人、タイ人)

グループ課題は、ミーティングを通じて、まとめあげていくのですが、
ミーティングの進め方には、それぞれの文化やワークスタイルが
色濃く反映されます。

一般的に、日本人は会議において、
「段取り良く意思決定を行う」「議論をして合意を形成する」という
というスタンスで臨んでいると思います。

これには、日本人のビジネス上の特徴がよく出ています。
その日本人の特徴はまずは考察してみましょう。

ビジネスには、必要な役割が2つあると言われています。
ひとつ目は、「創造者」の役割。
何か新しいことを始めていく役割です。
もうひとつは、「改善者」の役割。
創造したものから確実に収益を上げるために、
コスト削減、安定稼働、歩留り改善、実用化技術開発などを
リードしていく役割です。

日本人は概して、「改善者」の役割が得意だと言われています。
それは、戦後日本の経済成長において、
海外で産まれた技術やビジネスモデルを徹底的に磨き上げ、
競争力を獲得していったことが評価されているからです。

「改善者」がお家芸である日本では、
何か明確なゴールがあることで、がむしゃらにそこに向かって
進み続けることが得意です。
例えば、製造業では、セットメーカーから与えられた「お題」「試練」に対し、
全社総力を挙げて、そのお題をクリアするために奮闘します。
ノルマや目標というものを巧妙に設定して、従業員の粉骨砕身を誘導する
試みも得意です。
アメリカで概念が構築された「半導体」や「電気自動車」についても、
それを見事に実現化させたのは日本のメーカーでした。

そんな日本では、「会議」は合意形成のためにあります。
起案者側が明確に実現すべきゴールを会議の前に確立し、
それを影響部署や、正式な会議体に起案し、
参加者一体となった「会議」という場がオーソライズするというものです。

特徴的な点は、
・明確に起案部署が定まっている
・事前にゴールが決まっている
・会議体はそのゴールを微修正したり、オーソライズするためにある
・段取り良く、スピーディーに合意形成することが目的とされる
・決定をオーソライズするのは会議体。参加者個人ではない
・事前に想定していない点をつかれると、持ち帰って次回検討ということになる
という点です。
そのため、事前準備が不十分であったり、起案者が不明確であるような
状況は、参加者や関係者の居心地を悪くさせます。
情報不足や検討不足による間違った意思決定を避けたいという、
「守りの意思決定」と言えます。

しかし、これまでサンダーバードで経験したようなミーティングでは、
アングロサクソン型のアメリカ人は、会議の力点を違うところに置いています。
それは、アングロ・サクソン型が、「創造者」の役割を強調するところから
来ているように思います。

例えば、別のサンダーバードの日本人学生が、事前準備をしっかり行い、
ミーティングに臨んだところ、他のアメリカ人やインド人は事前準備を全くしてこない。
なぜかと問い詰めたところ、逆に、「お願いだから事前準備しないでくれ」と
言われてしまいました。
なぜでしょうか。彼らの言い分はこうです。
「せっかくみんなで議論をして考えようと思っているのに、事前準備されてしまうと
そのプロセスが阻害されてしまう」
確かに、彼らは20代半ばと若いため、単に事前準備の大切さを知らないとも言えます。
が、彼らからは、会議はスピーディーに合意を形成する、という意識は感じず、
むしろ、「会議前には思いつかなかったような、新たな発想を生み出したい」、
という意欲が見てとれます。
アメリカ人やイギリスの影響を大きく受けているインド人は、会議の力点が違うのです。

僕が経験したチームでも、起案者は不明確で、段取りがいいとは決していえません。
が、ミーティングはものすごい勢いで展開していきます。
それは、順番にものごとを片づけていくのではなく、
思いついたことを議論し、それを肉付けし、次の議論につなげていくためです。
会議の展開を事前に予想することは不可能に近いです。
日本人からすると、決して、効率的な会議とは呼べませんが、
日本の会議にはない創造的な空間が、そこにはあります。

特徴的な点は、
・起案部署は不明確。むしろ、「起案責任は誰にある?」というようなことを思っている
 と議論がどんどん先に進んでいってしまう。
・事前にゴールはない。ゴールはその場でどんどん変化していく。
・黙っていることは、会議に参加していないのと同じ。
 =日本では黙っていても、その場にいることに価値がある。
・会議はその場でアイデアを膨らませることに重きが置かれる。
 =プロセスよりもゴールに重点が置かれる。
・決定をオーソライズするのは議長。会議体ではない。
・事前に想定しないことが起きても、その場の議論で意思決定してしまう。
創発に重いた「攻め意思決定」と言うことができます。

このように、日本人とアングロ・サクソン型では、会議の力点が違います。
双方には、それぞれメリットとデメリットがあります。
日本型は、効率的ですが、会議で何かが生まれることは少ない。
アングロ・サクソン型は、イノベーティブですが、網羅性や影響への配慮に欠けます。

こうした、会議の力点の違いが理解できていると、
日本人がこれから外国の人々と会議をしていく機会が増えていく中で、
イライラしたり、相手を無意味に責めたりすることを避け、
お互いのコミュニケーションをスムーズに進められるようになると思います。


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会議は何のためにある? への3件のフィードバック

  1. Jojo のコメント:

    会議の進め方はとても面白いですね。
    ちなみにアメリカ人が入っていなかった会議はどのように進んだのでしょうか。
    アジアでもアングロサクソン流になるのでしょうか。また、日本人とアメリカ人だけだったらどちらになるのでしょうか。
     (日本人、韓国人、台湾人、ベネズエラ人)と(日本人、中国人、ベネズエラ人)

    • admin のコメント:

      コメントありがとうございます。

      アメリカ人やインド人がいない場合、特にアジア人だけの場合は、
      ミーティングの進め方は日本に近い感じになります。
      まずは、適当にゴールを決めてしまって、
      そこから効率的にことを運ぶことに集中することが多かったです。
      中身を練りこむより、誰がどういう分担で片づけるか、という話題が多くなりました。

      ベネズエラ人については、彼がとても「アジア的」で周囲をみて発言する
      タイプだったので、日本式の会議の進め方がその場は中心になりました。
      これが中南米スタイルというには、まだ事例が少なすぎるので、もう少しいろいろ
      経験してから、考えたいと思います。

      日本人とアメリカ人の場合は、言語によると思います。
      言語が思考パターンを大きく左右することが研究でも確認されています。
      なので、英語でやると、おそらくアングロ・サクソン型が強くなり、
      日本語でやると、日本式になると思います。
      実際に、日本人とアメリカ人で日本語でミーティングをする機会があるのですが、
      そこでは、みんな周囲を見てから発言していたりします。

      • Jojo のコメント:

        返信ありがとうございます。面白いですね。参加者のの文化背景+育ってきた環境(米系から日本・アジア系)+使用言語(英語・その他)などが要因としてあるのでしょうか。
        多種多様なメンバーでは、Kick Off Meetingの前には定義や流れを確認することがスムース且つそういった人が、グローバルに適応できる人材なのでしょうか。

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