【多文化コミュニケーション】バイアスを認識する


こんにちは。

約1カ月かけて毎週行われた、
“Multi-cultural Teams and Leadership”の授業も、
今週の月曜日が最終回でした。

その授業のために、2つの論文を読んだのですが、
内容がとてもおもしろかったので、紹介します。

読んだ論文のタイトルはコチラ。

Morris, Micheal W. “When culture counts – and when it doesn’t.” Negotiation:N0506D, Harvard Business School Publishing Corporation, 2005

Brett, Jeanne and et al. “Managing Multicultural Teams.” Harvard Business Review, Nov. 2006

まず、一つ目の論文のポイントは、
「誰しもが相手に対して文化に由来するバイアス(論文内ではSchema)を持っている」
ということを認識し、それに応じて、会議の仕立てを考える必要がある、というものです。

論文のはじまりは、こんなエピソードからです。

ある日、スタン氏は、MTVジャパンの杉本副社長をホテルのロビーで待っていた。
スタン氏は大学で日本語を勉強していたので、ある程度、日本の文化を知っている。
そして、スタン氏は杉本氏を見つけると、深くお辞儀をし、伝統的な挨拶を交わした。
すると、杉本氏は驚いてこういった。
「一体、どうしたんですか?」
スタン氏は、意図せず、杉本氏に対し、文化的な壁を築いてしまった。
彼のぎこちない日本作法は杉本氏を当惑させただけだった。
常に、文化を尊重することは、国際的な交渉の上で、常にプラスに作用するわけ
ではない。

相手の文化を尊重することは大切だと言われています。
そして、そのこと自体は正しいと思います。
しかし、過渡に相手の文化をまねようとすると、
必要以上に自分と相手は違うんだという壁を感じさせてしまうことがある。
特に、相手が、国際的に活躍し自文化に固執しない人の場合、
相手をまごつかせて終わってしまう。
そういうことを冒頭の文章は説明してくれています。

では、どういうときに、このようなバイアスが際立つのでしょうか?
この論文では、その3つの環境を紹介してくれています。

1. 注意が散漫になるとき

「同時に複数のことをこなさなくてはいけないとき」、
「締め切りに追われているとき」、
人は相手への注意が散漫になります。

気持ちが焦るあまり、自分のバイアスで相手の行動を決めてかかるようになります。
例えば、欧米人は何か問題に直面した時に、
その置かれた構造や状況に原因を求めるより、
問題を起こした個人に原因を求める傾向が強くなります。

自分に余裕がなくなったときには、周囲が見えなくなり、
とりあえず自分がすでに持っている「バイアス」で判断をしてしまうようです。

2. 死を意識するとき

人は死の恐怖を意識すると、自分のバイアスに逃げ込みたくなります。
例えば、テロの危機や工場の爆発事故に遭遇すると、
「だから〇〇人は駄目なんだ。信用できないんだ。」
というバイアスで判断することが多くなります。

3. 文化的な発想を強いられるとき

例えば、説明責任を求められるとき、
その説明を行う対象の文化的な文脈(=バイアス)に訴えることが
多くなり、バイアスに基づく判断が増えます。
また、判断を行う際の言語によって、その言語の文化的なバイアスに
基づく判断が増えます。
同じ人間でも、英語で議論をすると、英語圏の考え方のバイアスが強くなり、
中国語で議論をすると、中国文化のバイアスが強くなる、ということです。

これらのバイアスは、
ミーティングの参加者、場所、議題などの設定に工夫することで
弱めていくことができます。
実際にこのような事例が挙げられていました。
シリコンバレーの企業と日本の電気メーカーとのジョイントベンチャー交渉に
おいて、両文化が入り混じるハワイをその交渉場所に選び、
言語は英語だったものの、その会場はアジア系の装飾がされたことで、
双方が自分のバイアスに固執しない環境が選ばれなかったという

また、1990年代にアメリカとロシアの間で行われた、
「戦略兵器削減条約」の交渉現場では、
外務省による協議よりも、国防省の協議のほうが、
会議が前進することが多かったようです。
外務省の外交官のほうが、多国籍交渉が慣れていそうなのに、
なぜ、外交官では前進できなかったのでしょうか。
それは、外務省が兵器から「死」を連想し、また説明責任先である
議会を強く意識し、バイアスに基づいた交渉をしたのに対し、
国防省の交渉者は、兵器をただの「技術」ととらえ、淡々と技術的な
内容に基づき、相互の解決策を図っていったということが挙げられています。

実際に、自分でもチームワークをしているときに、
相手の文化に勝手に原因を求めてしまうことがときどきあります。
「アメリカ人はジコチュウだから」
「インド人は協調性がないから」
しかし、このバイアスに固執している限り、
交渉を気持ちよく前に進めることはできないのだと感じています。
自分がバイアスに陥りかけていることを理解し、
それ以外の原因や事象をとらえる努力をすることを
最近では自分で意識しています。

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【多文化コミュニケーション】バイアスを認識する への1件のフィードバック

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