アメリカ 情報産業・データベースビジネス


こんにちは。

今日は、アメリカの情報産業・データベースビジネスの強大さを
ご紹介したいと思います。

日本では、情報産業・データベース産業というと、
「帝国データバンク」が主役です。
上場、非上場の企業データを収集し、
金融機関などからデータベース利用料を受け取るビジネスを展開しています。

また、「クレジットカード会社」「ポイントカード会社」も
新たな情報産業プレーヤーとして、位置づけられるかもしれません。
彼らは、利用者のカード利用情報から、マーケティング用のデータベースを構築し、
加盟店や他社へのコンサルティングに活用しています。

しかし、日本のデータベースビジネスは、
「数値情報中心」「閉鎖的」という特徴をもっています。

一方、アメリカには、
これをはるかに凌駕するデータベースビジネスが存在しています。
内容も数値情報よりもむしろ、定性情報を有料公開しているものが多くあります。

代表選手をいくつか紹介していきます。

1) Plunkett Research
– 業界内区分ごとのマーケット規模情報
– 業界や主要企業の最新ニュース
– 主要企業の一覧とその財務情報
– 主要企業の特徴や戦略についての定性分析
– 業界団体情報
– 求職者向けの業界ごとの雇用動向・雇用統計

2) Business Source Complete (Ebsco)
– 国ごとの業界定性レポート
– 業界について書かれたビジネススクールのケースリーディング
– 業界ごとのSWOT分析レポート

3) IBISWorld
– アメリカ700業界についての詳細分析レポート

4) Factiva
– 世界の主要新聞、雑誌等の記事データベース(検索機能充実)
– 自動翻訳機能付き

5) Investext
– 世界4万社の投資銀行・証券会社のレポートデータベース

6) MintGlobal
– 世界各国の業界ごと企業一覧(非公開企業も含む)
 ※例えば航空会社で検索すると、4,200社 HIT!

7) Hoover’s
– 世界280億の公開・非公開企業についての経営情報、役員プロフィール、
 製品情報、競合情報

8) Corporate Affiliations
– 世界各国の15,000社についての資本関係データベース

9) Vault
– 求職者を対象とした企業社風・制度など内部情報
– 業界・職種ごとのキャリアパス情報

10) The Quarterly Census of Employment and Wages, Salary.com
– 業界、エリア、企業規模、職種ごとの年収水準情報

どうでしょうか。
前職リクルートエージェントでの営業時代に、
毎日業界や企業情報を必死になってかき集めていたのを考えると、
圧倒的な情報インフラが、英語圏では整っています。

確かに、情報の網羅性の観点からは、まだまだ完璧とはいえません。
日本企業を検索しても、「なぜこの会社だけHITするのか?」というような状況です。
ですが、インターネット上に情報が溢れている昨今、
アルゴリズムさえ作れば、簡単に網羅性は向上できます。

これらのデータベースは、お金さえ出せば誰でもにアクセスできます。
サンダーバードでは、学校自体がおよそ50社と契約しているので、
学生はフリーで(もちろん授業料に含まれている)、いつでもアクセス可能です。

アメリカの多くの企業がグローバル展開にした成功した理由として、
このような情報インフラの存在も挙げられます。

他方、このような情報産業の存在は、
大きな個人情報の問題も引き起こしました。
上記のような業界・企業情報だけではなく、
アメリカでは個人情報を利用したビジネスが実際に行われていました。

個人情報保護が訴えられる背景となった、
当時の個人情報産業の様子を垣間見ることができる面白い本を
1冊挙げておきます。

『プロファイリング・ビジネス』

読んでいると恐ろしくなるぐらい、個人のプライバシーは無視されています。
このような産業を実施しようとすれば、すぐにできるところまで、
技術は進んでいます。

アメリカは良くも悪くも、データベースが充実しています。
「情報は力だ」という言葉がありますが、まさにアメリカは「力」を持っています。


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