MBA 就職・転職活動 2 (異業界・異職種転職)


前回に続き、MBAの就職・転職活動について、説明します。

前回、「異業界・異職種」への転職は大変難しいと書きましたが、
統計としては、
65%のMBA卒業生が、「異業界・異職種」へ転職しているという
実績があります。
2009年ベース、つまり不景気の時の実績です。

この数値は、非常に高い実績だといえます。
通常、日本の転職市場でここまで異業界・異職種への転職が
成功することはないです。

なぜ、MBAではこんなに高い「異業界・異職種」への転職が
実現できているのか?
少し考察してみます。

キーワードは、
-アメリカの第二新卒市場
-緩い解雇規制
この2つだと思います。

1.アメリカの第二新卒市場

最近、日本の新卒一括採用という行動が、
「労働の硬直性を生む」と批判されることが多くなってきましたが、
MBA学生にとっての就職・転職市場は、
まさに日本の新卒市場と瓜二つ。

特定の時期に、一斉に企業のリクルーティング活動がスタートし、
その時期に、キャリアフェアが集中し、
その期間を過ぎると、一気に採用の門戸が閉じられていく。
こういう状況です。

つまり、アメリカにも日本的な就職行動があるのです。

MBAの卒業生は、平均して28歳ほど。
企業が彼らに期待するのは、
-ある程度の職務経験(学部新卒にはない)
-将来へのポテンシャル
です。

28歳では、アメリカではマネジメントポジションにつくことはまれで、
たいていが入社後、
一兵卒としてマーケティングやファイナンス、ロジスティクス
の職についていきます。
なので、28歳はまだまだこれから鍛えていく年齢層なのです。

ここまでくると、MBAの卒業生は、
日本で一世を風靡した第二新卒市場と非常に酷似していることがわかります。

アメリカ企業は、
MBA卒業生を相手に第二新卒市場を形成し、
日本の新卒市場と酷似したシステマチックな採用活動を通じて、
効率的に一定数の若手社員を確保していっているのです。

2.緩い解雇規制

しかし、不景気にもかかわらず、なぜ第二新卒市場が継続できているのでしょうか。

それは、アメリカでは、解雇に関わる規制がほとんどないためです。
労働契約とは、企業と従事者との間で結ばれる、主体的な相互の自由契約であり、
それを国や州はあまり介入すべきではない、
というのがアメリカ労働法の大きな考え方だからです。

なので、アメリカでは、
日本企業のように、中年層が膨らみ、人口ピラミッドがいびつになる、ことは起こらず、
いつでも社内の人口ピラミッドの是正が可能なのです。
とくに、不景気のように、社会が解雇について「やむをえない」ととらえる状況下で、
人口ピラミッドの是正は、なおさら容易に行われます。

企業が勢いを持ち続けるためには、兵卒としての若手社員が必要です。
アメリカは、人口ピラミッド是正を通じて、好景気・不景気を問わず、
積極的に若手を採用し続けているのです。
もちろん、不景気に比べ、好景気には採用数が減るのは事実ですが。

ちなみに、2009年度でもMBA卒業生を積極的に採用している業界は、
金融、ヘルスケア、コンサルティング、ITです。
職種は、マーケティング、会計/財務、コンサル、経営企画です。

この2つのキーワードが、
不景気下においても、
MBA卒業生の65%が、「異業界・異職種」への転職を
実現できている背景なのだと思います。


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